タイ仏教とタイ伝統医療
〜プロムウィハンシーの教え〜
タイの伝統医療はその歴史上、主に薬草の研究に重点が置かれていました。スコータイ王朝のはるか昔、まだタワラワディー王国の時代に薬草を調合したと思われる石器(すり鉢・すりこぎ)などが発見されています。またクメール王朝時代には当時の王が102のアロカヤ病院を設立し治療にあたったとされています。その後スコータイ王朝の時代にはサムンプライ農園が作られ、王の管理のもと薬草が研究・栽培され、さらにアユタヤ時代に入ると民間療法としてしてのパナライ薬方書がまとめられ治療の指針となりましたが、その後のビルマによる侵攻により貴重な経典とともにこれら資料も失われてしまいました。そして18世紀末にチャクリー王朝に変わり、残されていた知識をまとめてワットポーに保存されたのですが、海外貿易が盛んになるにつれて、徐々に西洋医学が広まり伝統医療の役割が薄れてくるようになりました。そして20世紀初頭には伝統医療の研究自体が停止されてしまいました。しかし今日、西洋文化の流入により今までは少なかった生活習慣病などが見られるようになり、従来の伝統医療の良さがまた見直されてきています。ドイナムサブプロジェクトでは人々の身体が本来もつ健康維持能力を活性化することにより健康を維持し生活できるようになることを目的として伝統医療を見直し、研究を重ね、1996年にハーブボールやハーブサウナ、産後の女性の健康ケアなどの伝統手法を現代に復活させました。またこれらの技術に共通していることは人を思いやるという気持ちです。仏教の教えの中で「プロムウィハンシー」という教えがあります。「慈・悲・喜・捨」の4つの無量心をもって相手に接するというものです。「慈」は相手を慈しみ愛する心、「悲」は相手を悲しみを取り除かせていただくという心、「喜」は相手の幸せを共に喜ぶ心、そして「捨」は俗念を捨て相手に奉仕する心。タイ伝統医療の基本はまさにこの心に集約されており、タイ式マッサージやハーブボール施術にも受け継がれていると言えるのではないでしょうか。また自分の体調が優れない時やいらいらしている時などは相手にその気持ちが伝わってしまうものです。技術を人に施す者は常日頃より健康に留意し維持するように努める必要があります。
私たちはマッサージスクールとは単に技術を学び取るだけでなく、これらタイ伝統医療の教えを学んでいただく場でもあり、正しい知識を一人でも多くの人に知っていただきたいと考えています。
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